特別方式遺言について
特別方式遺言は、病気やその他の事情によって死期がさし迫っている状況にある場合、伝染病により病院で隔離されている場合、船舶内等一般社会から隔絶されている場合に行う遺言です。
特別方式遺言は、大きく分けて、死亡の危急に迫った者がする遺言(死亡危急者の遺言(臨終遺言・一般危急遺言))、伝染病で隔離されている者がする遺言(伝染病隔離者の遺言)、船舶の中にいる者がする遺言(在船者船舶隔絶地の遺言)、船舶が遭難した場合に船中にあって、死亡の危急に迫った者がする遺言(在船者船舶遭難時の遺言(難船危急時遺言))の4つに区分することができます。
特別方式遺言は、普通方式による遺言が困難な場合において特別に認められた遺言であることから、普通の遺言ができるようになって6ヶ月間生きていたときは、失効することになります。
特別方式遺言作成の手続き
・一般危急遺言は、証人として3人以上の立会いがあり、その1人に遺言の趣旨を口授し、口述を受けた者がこれを筆記し、遺言者と他の証人に読み聞かせ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名押印し、遺言の日から20日以内に証人の1人または利害関係人から家庭裁判所に請求して、確認を得る(確認を得ないと効力が生じません)遺言です。
・難船危急時遺言は、証人として2人以上の立会いがあれば口頭でできる遺言です。口述を受けた者がこれを筆記して、これに署名押印します。難船危急時遺言は、遭難が止んだ後、遺言の趣旨を筆記して署名押印することも可能です。そして証人の1人または利害関係人が遅滞なく家庭裁判所に請求して、確認を得ます。
・伝染病隔離者の遺言は、伝染病のため、行政処分によって交通を断たれた場所にあるで出たくても出られないもの、伝染病以外でも地震等で交通が絶たれた場合、刑務所内にいる場合も対象となります。
伝染病隔離者の遺言は、警察官及び証人1人以上の立会いにより遺言書の作成ができます。 遺言書は遺言者が作成し、これに遺言者、警察官及び証人が署名押印します。伝染病隔離者の遺言には、家庭裁判所の確認は不要となります。
・船舶隔絶地の遺言は、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いにより遺言書の作成ができます。 遺言書は遺言者が作成し、これに遺言者、船長又は事務員及び証人が署名押印します。船舶隔絶地の遺言には、家庭裁判所の確認は不要となります。