遺言状作成の注意点について
遺言状作成の注意点としては、遺言書の書き方のページで列挙していること以外にも実務上で問題になることが多い事案を記載していきたいと思います。特に財産の表現方法があいまいな遺言書や、明確でない遺言書などをよく目にします。表現方法を誤ることによって、財産が全く手にできない場合もありますので遺言の表現には、十分に検討を重ねる必要があります。
財産を誰にあげるのかを明確にする
財産を○○にあげるという表現ではなく、○○に一任します、○○にお任せします、○○にお願いしますという表現をとっている遺言書は意外と多いです。
○○にあげる、○○に遺贈するであれば遺言者の意思は読み取れますが、○○に一任する、○○にお任せする、○○にお願いするという表現では、相続事務の一任とも読み取れます。その場合、権利者とはなれない場合も出てきます。
全財産の包括遺贈なのか、特定遺贈なのかを明確にする
全財産の包括遺贈か特定遺贈なのかで争われる遺言書もよく見かけます。典型例で言うと、全財産を○○に包括遺贈しますという表現であれば包括遺贈で認められますが、財産を列挙し、以上の財産を○○に全て遺贈しますというような表現をすると、特定遺贈と解されることになります。
相続人に全財産をあげる場合は、全財産を○○に相続させるという表現をし、第三者に全財産をあげる場合は、全財産を○○に包括遺贈するという表現をとるよう注意してください。
ですので、全財産を相続人数人にあげる場合は、全財産を○○と△△に各2分の1ずつ相続させるという表現をし、全財産を第三者数人にあげる場合は、全財産を○○と△△に各2分の1ずつ包括遺贈するという表現をします。
これが全財産を相続人と第三者にあげる場合は、全財産を○○と△△に各2分の1ずつ包括遺贈するという表現、或いは全財産のうち2分の1を○○に相続させ、2分の1を△△に包括遺贈するという表現をするのがいいでしょう。